2023.03.22

シベリアの森の中で

借りられて良かった。余裕があったら買って良かったかも。

 

犬たちは永劫回帰に満足している。ある出来事が起こりそうになるや否や、待ちきれずに涎を垂らす。予期せぬことが誰かが訪ねてきたりすると、唸り声をあげ、吠えかかり、攻撃する。新しさは敵なのだ。

 

夜、眠れなくて辛いので、発炎筒を持って浜辺に出た。月が沈んでゆく。また明日にはやってくるだろう。それは確実なことだ。救世主(メシア)よりも衛生に賭けたほうがいい。

 

ぼくは会話というものがいかに攻撃的なものかを今になって理解した。話し相手というものは、あなたに興味があるんですよなんて言いながら静かな空気を壊し、時間の岸辺にズカズカと入り込み、尋ねたことに答えてくださいよと言ってくる。どんな対話も戦いなのだ。

 

 

今、この休息が多い時期に読んで良かったと思う。これからの賃金労働及び消費社会での生活に影を指すものになることは確実だけど、

このような生活もあるんだということは生きる上で希望になるだろう。

都会から離れて静かに暮らす、となると田舎、山、となるが近くにどのような自然があるかで、周りの人間の性格も生活様式も変わるだろう。

シベリアの、雪が支配する世界も、きっと自分はタフに生きられないけど、静かで空気が澄んでいそうなところは憧れる。

そして田舎暮らし、となるとどうして山の近くになるんだろう。山の近くで農業がパッケージ。

資産を持っていない社会の除け者は生活できないほど、海の近くの丘は桃源郷

 

仕事を辞めたら海から自転車で10分くらいの距離に住みたい。丘の上がいい。

 

この休息生活も終わりだが、この長さでちょうど良かった。というのは貯金の問題。

もう貯金が尽きた。

お金が無尽蔵に湧いてくるなら、こんな生活を続けたい。

1日自由であっても体が勝手にリズムを刻むんだから、労働なんかなくても充実します。

 

ああ、なんて恐ろしいんだろう。でも自分勝手で我儘な人間にならなきゃ。気を遣わないようにしなきゃ。

 

 

須永朝彦傑作選

森の彼方の地

 

加賀友禅に、御座船模様小袖裂と呼ばれる、臙脂を使つた旧い染物があり、そのカーマインレッドの美しさは比類がなく、生命のやうに暗く、死のやうに華やかで、さしあたつてこれに匹敵する赤紅色は人間の血だけだ……。